アフガニスタンで韓国人クリスチャン達が拉致されて、今日で15日目になる。
いつになったら解放されるのかといつもニュースを気にしている。
教会でも何人か集まる時には彼らのために祈っている。

最初、牧師が殺された時に、人質の殺害はまだまだ続くなと感じた。
同じ牧師として色んなことを考えてしまう。

韓国のキリスト教団(プロテスタント)は現在、世界175カ国に約1万6000人の宣教師や
活動家を派遣し、その規模は米国に次いで世界2位という。

韓国にはプロテスタントを中心に、人口の約3分の1にあたる1500万人ものキリスト教徒がいる。
そのため、ソウル首都圏では喫茶店の数より教会の数が多いと聞いたこともある。
ソウル名物である赤い十字架の夜景はそのためである。

しかし最近は、慢性的な教会の飽和状態のため、教会同士の競争が激しく牧師も就職が難しいようだ。
それゆえ、各教会や教団では海外布教・奉仕活動に力を入れ、そのための献金集めも活発だと聞く。
海外布教が財源確保に好都合らしい。拉致された23人の奉仕団を派遣したのは、「セムムル教会」で、
財政的には潤っていたという。


うちの外国語学院のジュニア英語クラスに、孫を通わせている韓国のおじいちゃんがいる。
このじいちゃんは、近くのプロテスタント教会に通っている元大学教授の博識のじいちゃんだ。
時々、孫を待っているこのじいちゃんと雑談していたら、面白い話をしてくれた。

韓国では、特にソウルのこの辺り、つまり江南地区が教会の超激戦区らしい。
地価が高く、富裕層が多いため、教会はこぞってここに建物を建てようとするのだそうだ。
牧師も優秀で人気のある人だけが選ばれるとのこと。そのじいちゃんの教会も、何人もの
優秀な牧師を書類選考とインタビューでふるって、やっととっておきの牧師を選んだのだそうだ。

「ちなみに教会員は何人ですか?」と、じいちゃんに聞いた。
「私のところは小さい教会ですよ。まだ2000人ぐらいしか礼拝に参加していません」

・・・日本とは桁が違った。その近くに、お世辞にも優秀とは言えない私が牧する教会があるが、
毎週の礼拝が、まだ20人から30人とは、とても言えなかった(笑)

この辺の人たちは耳も肥えていて、下手な説教では通じないということだ。(ゲゲゲ・・・)
だからこの辺りに教会をつくるのは至難の業らしい。
まぁ、もう私たちの教会は場所を確保できたからいいのだが・・・


私たち夫婦が、韓国へ最初に来た時に連れて行かれた場所がある。
私たちは、何組かの海外へ向かう韓国人宣教師夫婦と共に、ある墓地に行ったのだ。
そこはもちろん普通の墓地ではない。韓国で殉教したキリスト教宣教師の墓地である。
超教派の墓地なので、それぞれのキリスト教の教派によって区切られていた。
こんなに多くの宣教師たちが殉教し、あるいは病気で亡くなってこの地に骨を埋めたのかと驚いた。

私たちがこの墓地に連れてこられたのは、「殉教を覚悟して任地へ向かいなさい」ということ
だったのだろう。その覚悟は多少なりともしてきたつもりだ。

しかし、痛々しいのは、墓地の端の方に宣教師の子供達の墓が無数にあったことだ。
昔は、まともな薬も治療手段もなかったのだろう。両親が一生懸命に宣教している間に
子供は具合が悪くなっていく。そして見つかった時には手遅れだったのかもしれない。
そんなことを考えた。

これを書きながら、数日前に、沖縄で生まれた次男のことを思う。
月曜日から1週間ほど沖縄に帰るが、また妻と子供を9月の終わりには、
ソウルに連れて帰ることになっている。我が家の幼い子供3人は、
こんな目に遭わせたくないと思った。

牧師や宣教師たちが、それぞれの場所で犠牲になる事はある程度理解できる。
しかし、ボランティアチームは別な話だ。あまりにも危険な地域に出向かせ、
強引な宣教をすることによって、将来のある純粋な若者達が犠牲になることは
何としても避けて欲しいものだ。

先週、朝の祈り会のときに、ある男性がポツリと言った。
「アフガニスタンで捕らわれた人たちの中に、昔からの知り合いの女性がいます。
心配です、祈ってください・・・。」

 彼らの無事と早期救出を心から祈りたい。